スミス記念堂は、昭和6年(1931)、彦根の風土と人々をこよなく愛した日本聖公会彦根聖愛教会の牧師で彦根高商の英語教師でもあったパーシー・アルメリン・スミス氏が、両親を記念しまた東西両国民の平和的交流を願って、多額の醵金(現在の約3億〜6億円)を募って彦根の人々と協力して濠端に建設した和風教会堂です。建築資材には良質な吉野のヒノキを用い、伝統的寺社建築を基本としつつも彦根城の形状やキリスト教文様を随所に取り入れた極めて建築的価値の高い文化財的建造物であります。
そこではかつて、信者だけでなく様々な市民が集い、文化諸事業や青少年及び市民のための教育事業等が展開され、日本人・アメリカ人・朝鮮人など人種を超えた平和的国際交流が行われていました。
この建物に美しく結晶した和の心と東西両文化を相互に尊敬する精神こそ、茶道や禅・詩歌などの伝統文化に深い造詣を示し、同時に開港という国際舞台への扉を開いた井伊直弼の精神とも合致するもので、現在の彦根にも脈々と受け継がれ、国際紛争が今尚耐えない今日の社会にとっても貴重なメッセージであると思われます。
私たちは、平成8年秋この建物が廃棄の危機に立たされて以来、「スミス記念堂を彦根に保存する会」を発足させ、またさらに多くの企業家や市民の方々の御賛同を得て平成15年6月に特定非営利活動法人=NPOスミス会議を設立して、スミス記念堂など文化財的建造物の保護活用を核にしたまちづくりのための運動を繰り広げてまいりました。
NPOスミス会議の会員は約400名に達し、私たちの運動に理解を示していただいた彦根市長は、さる6月の彦根市の定例市議会において、スミス記念堂の再建=移築先として、旧市立病院看護婦宿舎跡地を御提示下さいました。これまで移築地決定に至るまでには様々な困難な事情が重なり7年余という長い道のりを要しましたが、ようやく今、お城を真向かいに望める濠端の地という、この文化財建造物にもっとも相応しい立地を与えられましたことに対し、彦根市当局並びに御支援いただいた数多くの市民の方々に深甚なる感謝の意を表明いたします。
ここに改めて、皆様にスミス記念堂の再建と活用の具体的あり方を示し、御理解と御協力をお願いする所存です。
この建物を再建する目的は、
第一に、なんといってもお城を望む濠端に、この歴史的建造物を再建し、美しい城下町の都市景観を取り戻すことにあります。スミス記念堂の隣にはこれも近代和風建築の逸材である和光会館があり、さらに濠端周辺には滋賀大学講堂、ヴォーリーズ建築の陵水会館・旧外国人宿舎等が点在し、それらが一体となって、新たな美しい景観スポットを形成すること必定です。スミス記念堂はこれからの新たな観光名所としても大きな魅力を備えているといえましょう。
第二に、移築後は、スミス記念堂に込められた精神を顕彰しながら、生涯学習・郷土教育、文化諸活動や国際交流などを柱として、多様な市民が親しく集い、交流し学びあえる場・施設として有効に活用していきたいと考えております。
具体的には、
1.スミス・ホール 貸しホールとしての利用
ミーティング・ルーム(地元の方等の会議、学会、各団体の会議)、研修ルーム(彦根出身企業・同在住企業等のセミナー)、コンサート、映画、ギャラリー、文化諸事業の会場(お茶会、お花の展示場等)
2.スミス・スクール 青少年を対象とした教育学習活動
市内大学等の教育機関、文化諸団体、市内経済人等と連携し、学びの場とプログラムを提供します。ミシガン州立大学連合センターや在彦外国人の方々と連携し、ユニークな語学教育や国際文化理解のためのプログラムを提供します。地域の様々な世代の方々と連携して、魅力ある郷土教育など、NPOスミス会議ならではのプログラムを提供します。
3.スミス・アカデミー 社会人を対象とした生涯学習活動
より高度な知的探求や文化教養の修得、社会実践に役立つ生涯教育を行います。
行政・各種教育機関と協力しつつ魅力あるプログラムを提供します。
4.みなが楽しく集える広場として
濠端の景観に見合った植栽を整備し、市民や観光客が集える広場を整備・提供します。
私たちは、スミス記念堂を濠端の地に再建し、上記のような諸活動を通じて、文化の香り豊かで活気あふれる未来のまちづくり・景観形成・人材育成へと大きくつなげていくことを夢見ています。
貴重な文化財建造物を再建して美しい濠端の景観を取り戻し、みなが集い交流できる空間を創造し、これからの地域社会の豊かな文化・経済発展を願う多くの皆様!
ぜひ皆様の善意のお力を私たちにお寄せください。
移築予定地にある旧看護婦宿舎の解体作業は今年度中にも執り行われる予定です。来年度早々、桜の咲く季節には、現在別地で解体保管されている部材を補強しつつ具体的な再建作業を進めていくことになります。こうしたスミス記念堂の移築再建費には、附属する管理棟や保管庫・トイレなどを含め6千万円以上がぜひとも必要です。
皆様の御支援・御協力をこころからお願い申し上げます。
(なおこの市民運動は、特定の宗教・政治団体の活動とは一切かかわりの無いことを申し添えます。)
平成16年10月
NPOスミス会議理事長 筒井正夫
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